2019年4月6日土曜日

海外で感じた,「敬意を示すことの大切さ」(第10週 3/31 ~ 4/6)

 Ola!

 体調不良から完全復活!!とまではいきませんが,とにかく元気になりました!
 まだ体力が戻らないのを一番実感するのが,大好きなお散歩の最中です……途中からどうもお腹が気になりだし,体に倦怠感(疲労感?)が訪れます。

 これが30代か……

 などと思っていてはいけません!!
 私の知る限りにおいて,30代でも40代でも若者に負けずにバリバリ動いている方は大勢います。年齢を言い訳にしたら終わり!やりたいことをやりたいようにやるだけの体作りは絶対続けます!

☆初のガチギレ in Moçambique☆

 やっちまいました。
 草の根外交官。外交官としてあるまじき行為だったと,正直少し反省しています。
 でもどうしても頭にくる出来事だったのです。

 それは体調が戻り,活動も再開できた日のことでした。
 食材が底をつきそうだったので買い物に出かけたところ,シャパ(バス)がパラージェン(乗り場)に停まってお客さんを下ろしていました。
 別に何も考えずに普通に横を通り過ぎようとしたところ,コブラドール(車掌)から「Oi」(よう!)と声をかけられました。乗ると思ったのかな?と思って立ち止まったところ。

「チンチャンチョン!wゲラゲラゲラw」

とあからさまにバカにした態度。
 いつもだったら「はぁ?」みたいなジェスチャーして通り過ぎるところでしたが,いかんせんこの日の私は心のゆとりがいつもの半分以下でした。思い切りガン睨みして,「他人に敬意を持つべきじゃない?」と片言ポル語で反論。

 前に子供と同じような問答をした時は,こっちが不快に思ってるのに気付いたのか,子供は「はい……」とシュンとなってくれたのですが,今日は相手が違いました。

「何言ってんだよ,ここはモザンビークだぜ,おっさん」

 吐き捨てられたこの一言が,私の逆鱗に触れました。

 「もちろんだよ,ここはモザンビークだ」
 「モザンビークには何の問題もないし,私はモザンビーク人が大好きだ」
 「でもあなたは違う。人に敬意を持たないあなたは問題だ。私はあなたが嫌いだ。」

 ということを片言ポル語でめっちゃしゃべりました。
 しかしコブラドールは「何言ってんだこいつ?」みたいな感じでシャパをたたき,車は走り去っていきました……。

 残された日本人は憤るしかなく,もうそのまま帰ってふて寝してやろうかとすら思いましたが……その時パラージェンで降りたおばちゃんが,話しかけてくれました。

「ぶんなぐってやればいいのよ」

 おばちゃんの言葉が,自分の中でスイッチを切り替えてくれたように思いました。
 と同時に,なぜコブラドールの一言がものすごく頭に来たのかも納得がいきました。

 一瞬モザンビーク人やモザンビークに対してネガティブになりかかった自分でしたが,そもそも腹が立ったのはあのコブラドールに対してです。他の乗客は別に笑ってもいなかったし,第一自分も言った通り。モザンビーク人は本当にいい人がたくさんいます。

 そんな腹立たしいコブラドールが,モザンビークすらも侮辱したように思えて,自分は無性に腹が立ったのだと思いました。自分の無礼をモザンビークのせいにしている発言が,ものすごく嫌だったのだと思います。

 確かに中国人に間違われて嬉しくはありません。日本人だからです。でも「ニーハオ」とか「シネーズ(中国人)」とか,そういうのは知らないのだから,仕方がないと思います。
 むしろきちんとこちらを見て,挨拶をしようとしているのであれば,きちんと挨拶を返して,「私は日本人なんですよ」と説明するべきなのだと思います。そうすれば次からは「ジャポネーズ!(日本人!)」「カズ!」と呼んでくれるようになります。

 敬意をもって相手に接すること。それは日本だからとか,先進国だからとかではなく,人と人とが関わっていくうえで,なくてはならない意識なのだと思いました。


 結果的におばちゃんに憤りを抑えてもらったお散歩隊員は,校長先生から情報を頂いた近所の中華ショップを探して病み上がりなのに歩き回り,かなりの疲労を得てしまったのであった……。


☆大調査!モザンビークのお買い物事情☆

 というわけで!
 かねてより注文のあった,モザンビークのお買い物事情について,今回から少しずつ書いていきたいと思います!

 というのも,モザンビークには「あー,イメージしてたアフリカだわ」と思う露店や市場もあれば,「ん!?アフリカってこんな感じなの!?」と驚きを禁じ得ないスーペルメルカド(スーパーマーケット)まで,様々なお店があります。
 私もまだまだ初心者ですので,見つけたお店や気になったところを順次ご紹介していきたいと思います。

〇お店ナンバー01 「Shoprite(ショップライト)」

 記念すべき第一回は,私も日ごろからお世話になっているスーパー「Shoprite」のご紹介です!
 Shopriteは南アフリカ資本のスーパーらしく,野菜や果物はもちろん,肉,魚,冷凍食品,乳製品,ジュース,お酒,缶詰などなど……食料品はほとんどなんでも仕入れることができます。
 また中にデリコーナーやパン屋さんもあり,バリエーション豊富なお惣菜やお店で焼いたパンを購入することもできます。

① 果物やお野菜はどれも新鮮!……とは限りません。
腐っているものを見極めるのも大切です。
基本的には量り売りなので、欲しい分だけ袋に入れて,
店員さんに渡すと値段シールを貼ってくれます。

② チーズやバターも色々な種類があります!
ゴーダ,チェダー,モッツァレラ……
中身は日本と同じように,一枚ずつ包まれています。

③ ジュースも一区画を占める品ぞろえ!
メーカーもたくさんあります!
ちなみに…手前のメーカーのミックス
ジュースはネーミングが面白いです。
(例:秘密の渓谷,季節の宝物など…)

④ アイスクリームも色々!  
奥に見える赤いパッケージは,
ショップライトのプライベートブランド?です。

⑤ 冷凍のピザもあります。
冷凍食品は他にもお惣菜やミックスベジタブルなど
種類が豊富です!

⑥ パン屋コーナーです!
食パン,長パン,ベーグル,クロワッサン……
ケーキも売っていたりします。


 さらには,文房具や洗剤,シャンプーやベビー用品といった日用品から,電子レンジやトースター,ケトル,果てはスチームクッカーといった調理器具まで売っている店舗も!
 我が家の最寄のShoprite(徒歩30分強)は,規模的にはそれほど大きくはありませんが,それでもレンジくらいは買うことができます。

 またショップライトの周りに色々なお店が並び,ショッピングモールのようになっているのもとても便利です。
 (私の実家のすぐ近くにあるヨー〇タウンみたいだなぁ,と思っています)

 最寄り店には
 ・レストラン(焼いた肉とお酒を提供する店?)
 ・PEP(「ファッションセンターし〇むら」に近い。服と雑貨屋)
 ・Vodacom(携帯ショップ)
 ・ピザ屋
 ・Taka Famba(ハンバーガー屋。安全アドバイザー曰く,世界一美味しい店)
 ・King Pie(スイーツショップ。毎週火曜日はソフトクリームが24MTに!)
 ・KFC

 のようなお店が並んでいます。
 生活圏内に世界的チェーン店があることを知った時の安堵感は,中々のものでした。

 ……ただ,まだトライはできていません。
 本当は誕生日に行くつもりだったのですが,例の体調不良でそれどころではありませんでした……


 以上!ショップライトのレポートでした!

 明日は土曜日ですが,小学校は「体育の日」だそうで,みんなで集まって運動するのだそうです……!
 でもそんな日があるというのはとても素敵なことです!今年は逃しましたが,来年はぜひ運動会を……などと画策してしまう日本人でした。

2019年4月4日木曜日

番外編① 1週間の闘病と,病人を救った日本のもの

 Olá!(こんにちは!)
 さてさて……前回の更新でもチラッと書きましたが,この度私は盛大に体調を崩していました。どのくらい崩したかというと。

①連日の下痢(3時間置き位でお呼びがかかる)
②食欲の減衰(腹痛なのか空腹なのかもよくわからないが,食べると下す恐怖もあって食べたくない)
③発熱(30歳の誕生日深夜に39.5℃
便に血が混ざる恐怖の症状

これでオプションに嘔吐でもついてたら……と思うと恐ろしくて仕方ないです。
 (実際マックス熱が上がった夜は吐き気もあり,動けなくなって床に倒れこんでしまいました……)

 活動先のご理解を頂き,ゆっくり療養させて頂いていたおかげでずいぶんとよくなったので,明日からは活動開始したいと思っている水曜日の夜です。


☆体調を崩した私を救ったもの☆

 モザンビーク到着以来,最も体調を崩した今回。
 何が自分を救ってくれたのだろう……と考えた時に,「これだ!」と言えるものがいくつかありました。ブログをご覧頂いている方の中にも,これから長期間海外に滞在しようと考えている方もいらっしゃると思いますので,いくつか紹介したいと思います。

① 経口補水液(スポーツドリンク)


 兎にも角にもこれ。これの存在は大きかったです。
 今回一番悩まされた下痢は,ご存知の通り水分を大量に消費します。同時に塩分や糖分といった生命維持に必要な成分も,汗と下痢によって失われていきます。
 そういったものを,効率よく,そして何より美味しく補給してくれるスポーツドリンクは,なかったらダメだったかもしれないとさえ思います。

 ちなみに,モザンビーク産の経口補水液パウダーもあります。
 表紙の見た目はおいしそう!オレンジ味?!
 病院で処方されたときにはワクワクして,1Lのミネラルウォーターに溶きました。
 ちょっと薄いがオレンジ色!匂いも薄めのオレンジジュースみたい!美味しそう!

 ……………
 なんじゃこりゃ
 水で薄めた海水。塩水。他の形容が思いつきません。
 まっずい!!!
 結果……今回の体調不良で,ポカリ1袋,アクエリ1袋,ビタミン飲料1袋の計3つを消費しました。日本のスポドリは美味しい。子供がジュースみたいってガブガブ飲めるくらいです。美味しいに決まってます。ありがとう。

 以上からもわかるように,特に途上国長期間滞在するのであれば,水に溶いて服用するタイプのスポーツドリンクをちょっと多めに持ってきておくことをお勧めします!ちょっと多めにあると,ケチらずにいざというときに使いやすいと思います。

(ちなみにモザンビークにも500mlペットボトルでポカリが売っていました。日本の倍ぐらいします……!)

② 日本の米

 アフリカで主に食べられているのは細長いお米です。
 炊くとパラパラしていて粘りはなく,汁気のあるカレーや煮物と一緒に食べると非常に美味です。
 しかし今回,病人の私が欲していたもの……それはお粥でした!

 偉大なる日本の食文化,お粥。世界的にも認められる優れた病人食です。
 お粥を作るには,やはり日本のお米特有の粘りが必要です。以前アフリカ米でおじやを作ろうとしたことがありましたが,全くうまくいかなかった苦い思い出があります。

 今回はたまたま常備していた日本米があったため,それをふんだんに使ってお粥を作りました。レシピはこちらを参考にさせて頂きました……


 米1に対して水5の比率で炊くといいらしいです!
 水を吸わせる時間をとらなくても美味しくできるレシピ,とてもありがたかったです!

 ということで……。
 お粥嫌いな方もいらっしゃるかもしれませんが,それならばうどんでも何でも構わないので,体調不良の時に食べられるものを常備しておくことはやはり大切だと痛感しました。
 もし渡航先の食文化に不安がある場合は,日本から「これだけはいつでも食べられる!」というものを持ってきておくといいと思います!

③日本の味(ふりかけ)

 お粥と合わせてもよかったのですが,この存在には特に助けられたと思うので,別枠でご紹介します。
 お粥も確かに素晴らしい病人食なのですが,味付けはせいぜい塩・醤油・味噌。卵や中華粥もいいのかもしれませんが,残念ながら今回その余裕はありませんでした。
 そんな中,白がゆに華々しいレパートリーを添えてくれた存在がありました!
 ふりかけたちです。
 特にありがたかったのが,真っ赤なパッケージの「男梅ふりかけ」。梅の酸っぱさが体と心を癒してくれる思いでした……!3日ほど粥を食べ続けましたが,2日目以降は完全にふりかけのお世話になりました。
 またこのふりかけ,今回は粥にかけましたが,普段の白米でも大活躍します!日本にいるときはそれほど執着のなかったふりかけですが……こんなにもお手軽に,美味しくご飯を食べられるなんて……と,日本の食が米とともに歩んできたことを改めて実感させられました。

 そんなわけで!
 私としてはスポドリに並んで海外携行お勧め商品ナンバー1に推したいくらい,ふりかけはお勧めです!特に米を炊いて自炊しようと思ってる方,かさばらないしバリエーションも豊富。かければまず間違いなく美味しい。ぜひおすすめです。


☆まとめ☆

 健康体で派遣されたつもりの協力隊員。
 協力隊は健康基準が非常に厳しく,合格した時点で健康面だけは大丈夫だろう!とタカをくくっていた部分もありました。
 しかし,初めての海外。しかも長期滞在で一人暮らし。言葉も食べ物も考え方も,何もかもが違う環境での生活は,確実に疲労となって蓄積されていたのを実感させられる経験となりました。
 
 そんな中で何が自分を救ったのかというと!

 ①とにかく職場の理解!これがなければ休めなかった。
 ②様々な「日本」の知恵と技術の結晶!やっぱり日本はすごかった!
 ③心配してくださったたくさんの方々

 特に記事の中では②を中心に書きましたが。
 ①と③も外せません。③はJICAの現地スタッフの方々を始め,同期隊員,活動先の校長先生やカウンターパート,お家の大家さん……本当にたくさんの方に温かいお心遣いを頂きました。感謝の気持ちでいっぱいです。
 物ももちろんですが,やはり一番最後に人を救うのは人の心なのかもしれないな,と思いました。皆様本当にありがとうございました!





 最後に。
 今回紹介した日本グッズのほとんどは,実は白川が用意したものではありません。
 出発の前日,奇跡的に再会を果たした友人からのお餞別として受け取ったものでした。

 出発前の白川は,「食べ物くらい向こうで何とでもしてやるさ!」と息巻き,粉末のポカリは一応多めに買っていたものの,それ以外の日本食は一切持ち込みませんでした。
(その後,日本食を求めてマプトを彷徨うお散歩隊員が誕生するわけです……!)

 勢い任せの私とは対照的に,長期の海外生活について真剣に考え,まさに的確に必要不可欠な要素を持たせて送り出してくれたR君です。出会った当初から謙虚なしっかり者で,「みんなのアニキ」でした。私も彼からたくさん学び,感銘を受け,そして命を救われました。

 「ものではなく心」と言いましたが,物に宿った人を思う心もまた,人を救うのだと思いました。
 R君にも,最大の感謝を込めて……本当にありがとう!!

2019年4月2日火曜日

海外で感じた「物の価値」について(第9週 3/24 ~ 3/30)

 Bom dia!(ボンディーア!)
 とうとう華の20代が終わり,30歳となったお散歩隊員ジャッキーこと,白川です。
 たくさんのお祝いメッセージ,本当にありがとうございました!
 さて,最初に書いたのはポルトガル語の挨拶です。私の活動は今のところ午前中に行われるので,一日に少なくとも2~3回はこの言葉を使っています。日本語の「おはよう」です。ポルトガル語も日本語と同様に,時間帯で挨拶が変わります。

・Bom dia(ボンディーア,ボンジーア) → おはよう
・Boa tarde(ボアタルディ,ボアタージ) → こんにちは
・Boa noite(ボアノイティ,ボアノイチ) → こんばんは

という具合です。カタカナ読みはあくまで目安だと思って頂ければ……!
 そんなわけで,今週は色々とイレギュラーなこともあり,考えることもたくさんあったので,ちょっと予定を変更して,モザンビーク人の「物の価値観」について考えたことをツラツラ書いてみたいと思います。


☆エピソード① 日々のものの管理☆

 モザンビークに来て驚いたのは,意外ときれい好きなんだな,ということです。
 お店のディスプレイなんかものすごく凝ってるし,道端の露店ですら靴をきれいに並べ,野菜もわかりやすくひとまとめにして一山いくらと売っています。
 洋服についても同様です。シワシワのシャツなんてあり得ない,子供が着ている制服でさえ,きちんとアイロンがけされていたりします。

 ただし,それがすべての面について当てはまるかと言われると必ずしもそうとは言えません。
 例えば自分の家の周りは,毎朝掃き掃除をして,土曜の朝には草刈りしたり花を植えたりして,とても清潔きれいにしている家が多いです。私の任地は一応首都ですが,郊外の人口密集地なので,かなり古い家やボロボロの家もありますが,そんな家でも「きれいにしてるな」というのがわかる使われ方をしています。
 反面,共有スペースとなる道路や広場,学校などでは全く話が異なります。
 お菓子の袋やペットボトルは平気でポイ捨てです。黒板の前にオレンジの食べカスを捨てていた生徒に注意をしたところ,教室から出ていった矢先に外に向かって放り投げる,という場面にも遭遇しました。
 ジュースやビールの瓶が割れて危険そうなところを,小さな子供が裸足で歩いていたり,小学生が駆け抜けていったりもします。車の中からもポイ捨てをします。下手したら歩行者や対向車にぶつかるのでは…と冷や冷やすることも。
 (バナナの皮を窓から投げ捨てた時には,思わず〇リオカートを思い出してしまいました)


☆エピソード② 与える人と要求する人

 途上国というと,やはりイメージされるのは「物乞い」や「ストリートチルドレン」といった,言い方は悪いのですが他人にお金や物品を恵んでもらって生活できている人たちの存在でした。
 ここモザンビークにも,やはりそういった人は少なからずいます。首都マプトの中心街であっても,歩いていようが車で移動していようが,必ず1回は子供から声をかけられます。
 大概は「パンを買いたいから10mtくれ」「おなかがすいたからお金をくれ」といったことを言いながら,食べるジェスチャーをしたり,お腹を押さえたりして見せます。
 慣れた子供とそうでない子供もいるようで,最初からやや余裕な表情で「ちょっと困ってるんだよ」と近寄ってくる子もいれば,本当に切実そうな表情でいつまでもついてくる子供もいます。

 そういう人たちの事情は,確かにわからなくもありません。
 特にコネもなく,学校もどこまで修了できているかも定かではない。必然的に就ける仕事が限られます。そんな限られた仕事の枠でさえ,きっとかなりの競争率なのだと思います。働きたくても働けない,雇ってくれない。仕事がないからお金もない。生きていくうえで最低限必要な食物さえ手に入らないとあれば,道行くちょっと裕福そうな人……車に乗っていたり,こぎれいな服装をしていたり,外国に来る余裕がある人だったり……お金を持っていそうな人に少しでも分けてもらおうという気持ちはわからなくもありません。

 反面,モザンビークには「与える」価値観も少なからず存在しています。
 赴任前に行われた4日間の任地訪問の際に,数人の児童がお金を出し合って私にアイスクリームをごちそうしてくれました。さすがに子供におごってもらうのは……と思って払おうとすると,「なんでそんなことするの!?」と割と本気で怒られました。
 また一生懸命描いた絵をプレゼントしてくれる子供や,食べていたおやつをみんなにも分けてあげる子供など……「俺のものは俺のもの」では終わらない,他人と分かち合おうとする文化や価値観も少なからず存在するのかな,と思っています。


☆エピソード③ 欲求が先に立つ人々

 エピソード②で,生きていくために他人に要求する人については「わからなくもない」と書きました。ですが,いくらモザンビークが途上国とはいえ,もちろんそういう人ばかりが生活しているわけではありません。
 店舗や企業などでやとわれて働いている人,食料や衣類などの商品を用意して自分で売っている人,タクシーやチョペラ(3輪タクシー)を生業とする人……日本と同じように,様々な仕事を持った人々がモザンビークにもいます。
 驚いたのは,そういう人たちもすぐに「〇〇をくれ」と言うことです。
 警備員が「家に帰るシャパ(バス)に乗れないから20mtくれ」と言ってきたり。スーパーの店員が「帽子ちょうだい」「時計ちょうだい」を言ってきたり。学校に来た作業員が「俺の家族のために君のカメラをくれ」と言ってきたり……。

 おそらく断ったからと言って本気で困るシチュエーションではないのだと思います。
 現に「〇〇をくれ」に対してはすべて断っていますが,それで本気で不機嫌になられたり,ねちっこく言われたことは一度もありません。きっと言ってる本人たちも,もらえたらラッキーぐらいのつもりで言ってるのかもしれません。
 ただ,日本人としては,初対面で名前も知らない外国人に「それいいね。ちょうだい」とは言わないよなぁ……と思ったのですが,よくよく考えてみると……

 日本も敗戦したばかりのころは,米軍の人が見えるたびに「give me chocolate」を連呼したといいますし。自分たちより裕福な外国人に対しては,やっぱりそういう意識が働いてしまうものなのかもしれないなぁ……と思ったりもしたのでした。
 言われた時点では「なんでそんなこと聞くんだろう」「こっちには礼儀とか失礼っていう文化はないんだろうか」と色々考えてしまいましたが,日本や中国といったアジアの国々に対して,モザンビーク人が持っているイメージがそのまま言動になっているのだとしたら。アジア人は,自分たちとは比べ物にならない金持ちだと思われているのだとしたら。そりゃ色々ねだるのもわからなくもないよなぁ……と思ってしまいます。

 ただ,金持ちアジアンに対してはわかることもありますが。モザンビーク人同士でもその傾向はあります。上記のおやつを分けてあげた子供は,最初一人に分けたところ「俺も俺も」とたくさんの子供に群がられ,有無を言わずにおやつをむしり取られていました。
 またシャパに乗るときなども,決して列を作って待つことなどせず,目当てのシャパが入ってきたら一目散にダッシュ。他の人を押しのけてでも自分が最初に乗り込み座ろうとします。
 いい見方をすれば,チャンスを是が非でもつかもうとするハングリー精神。悪い見方をすれば,無秩序,ということなのかと思います。
 上のおやつの例なら,「食べるチャンスを何が何でもものにする」ための行動力も意思もありますが,それによって「最初の持ち主がどう思うのか」「他の子供がどう思うのか」は基本的に度外視です。そしてきっとその日は食べれたとしても次からは,分けてくれた子が学習して,誰にもおやつを分けないか,本当に仲のいい子だけにこっそりと分けるようになるでしょう。

 というのは日本人の考え方で,モザンビーク人にはまた全く違った価値観があるのかもしれません。まだまだわかりません。
 ただ,一定数の「欲求が先に立つ人」の存在がある,というのがここまでの私の印象です。


☆まとめ☆

 結論として何かが言えるわけではないのですが……!
 とにかく考えたのは,

 ①モザンビークは物資的には割と飽和状態?ゴミが処理しきれていない。
 ②「自分の空間はきれいに,その他は無頓着」「自分の欲求が先に立つ人の存在」→自分の範囲しか見えていない,狭い視野?
 ③反面,他人に優しくしようとする人の存在もある。

 こんなところでした。
 特に③に関しては,物をあげるだけではなく,道で困っている人がいれば手助けしてくれたり,シャパの中でおばあさんに席を普通に譲ってあげていたり,よくわかっていない外国人に親切に説明してくれたり……モザンビーク人は基本的に親切な人が多いです。そしてその親切に,何かしらの対価を求めようとすることもありません。ギブ&テイクではなく,ギブはギブ,テイクはテイクな価値観なのかもしれません。

 本当は週末に上げたかったこの記事なのですが,実は30になると同時に体調を崩し,昨日今日あたりに何とか持ち直してきておりました。それはもう,熱は上がるわ下痢は止まらないわの阿鼻叫喚地獄絵図……外国の地で自分は死ぬのだと本気で思いました(笑)
(実は20歳もインフルエンザとともに迎えた白川……10年おきに何かが起こるのかもしれません)
 体調崩している間の奮闘記なども,次回以降に織り込んでいきたいと思います。
 それから!モザンビークのお買い物・お店事情や,去る3月26日に行われた「東洋の星小学校開校記念祭レポート」も書いていきたいと思います!お楽しみに!



☆おまけ☆

 日本でも報道された(と聞いております)サイクロン「イダイ」に被災した中部の都市に向けて,わが小学校でも支援物資を送付する運びとなっていました。先生方はもちろん,各家庭からも衣料品や食料がたくさん持ち寄られ,ちょっとした小山になっていました。
 こんなところにも,モザンビーク人の「見返りを求めずに助けようとする文化」が見え隠れしているのかな,と思いました。